大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和24年(を)3830号 判決 1949年12月23日

被告人

廣中留治

主文

本件控訴は之を棄却する。

理由

弁護人和島岩吉の控訴趣意第一点について。

原判決第一の(一)の確定するところは被告人が昭和二十三年十二月四日頃向山良一より和歌山税務署に納入すべき依賴を受け預り保管中の金四千七百円をその頃擅に和歌山市内に於て自己の用途に費消したというのであつて、刑法第二百五十二條第一項に規定する自己の占有する他人の物を橫領した場合に該当する。右事実は、原判決挙示の証拠により充分に認められるのに、弁護人はこれだけの事実では橫領にならないと主張するけれども、苟も他人の物を占有する者が委託の任務に背いて擅に之を費消するときは直に本罪が成立するのであつて、右委託を引受けることが好意によると法律上の義務によるとによつて差異はない。又被告人に返還能力があつたり被害者が後日宥恕しても橫領罪の成立を左右するものではない。論旨は理由がない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例